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(2)放射線照射ラットへの小型肝細胞移植

放射線照射を受けた肝細胞は増殖能が抑制される。そのため肝細胞移植を受けると肝臓に生着し、置換することが知られている。肝切除により肝細胞増殖が促進されるとドナー細胞の増殖がより活性化され、置換効率がより向上する。成熟肝細胞を確保することは極めて困難である現状を考慮すると、幹・前駆細胞から肝細胞を誘導し、増殖させてドナー細胞数の確保を目指すことが求められる。我々が見いだした小型肝細胞は、肝前駆細胞でありin vitroで増殖させ肝細胞に分化・成熟化する。増やした小型肝細胞が成熟肝細胞と同等の置換能力を有するか放射線照射ラット肝臓に移植し比較検討した。

図 12日間培養し増殖させた小型肝細胞コロニーを脾臓経由で放射線照射ラット肝臓に移植した。DPP4陽性肝細胞が生着し既存肝細胞と置換し増生している。小型肝細胞は脾臓にも生着するが肝細胞は生着しなかった。1/20量の細胞数の小型肝細胞移植でも成熟肝細胞と同程度の置換効率があることがわかる。

肝前駆細胞を体外で増やしてもドナー細胞として使えることが分かった。ヒト小型肝細胞を分離培養し、増やすことでドナー細胞の確保に繋げる。

  1. Shibata C, Mizuguchi T*, Kikkawa Y, Nobuoka T, Oshima H, Kawasaki H, Kawamoto M, Katsuramaki, T, Mitaka T, Hirata K. Liver repopulation and long-term function of rat small hepatocyte transplantation as an alternative cell source for hepatocyte transplantation. Liver Transplantation, 12(1), 78-87 (2006)