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(4)In vitro胆管形成

(慶應大学理工学部 谷下一夫名誉教授・須藤亮准教授との共同研究)

正常ラット胆管上皮細胞を用いて培養皿上に胆管を再構築し、肝細胞と共培養することで肝組織の再構築を目指します。

図1

図1. 成熟ラット肝臓を二段階コラゲナーゼ肝灌流法を用いて灌流し、細胞を分離する。よく細胞を振るい落とすとグリソン鞘を主とする結合組織が残る。更にコラゲナーゼとディスペース、ヒアルロナーゼなどの酵素液を用いて結合組織を分解し、胆管上皮細胞を分離する。

図2

図2. コラーゲンゲル上で培養した正常ラット胆管上皮細胞。増殖する胆管上皮細胞の上をコラーゲンゲルで覆いサンドイッチ培養を行うと増殖は抑制され細胞の配置が徐々に変わる。管腔構造が形成され、管腔が網目状に繋がった構造に変化する。

図3

図3. 管腔形成に伴い胆管上皮細胞に極性ができる。管腔側にアクチン線維が集積し、apical面が形成されていることがわかる。10日目では管腔形成が見られる様になり、15日目で明瞭な内腔(Lumen)を形成した胆管上皮細胞が配列している。培養経過と共に内腔は拡大し、大きな管腔を形成する。

図4

図4. 胆管様構造を形成する胆管上皮細胞の機能。セクレチン投与に反応し、細胞質内に散在していたAE2、 CFTRタンパク質は、apical面に移動し、内腔内への物質の分泌に働くようになる。

胆管上皮細胞は、コラーゲンゲルサンドイッチ培養することで小細胆管を形成し、1%DMSO添加により更に大きな細胆管様構造を形成する。胆管様構造を形成する細胞は極性を持ち、セクレチン投与によりAE2やCFTRタンパク質は内腔側(Apical面)に移動する。In vitroで機能を持つ細胆管網を形成させることができた。

  1. Hashimoto W, Sudo R, Fukasawa K, Ikeda M, Mitaka T, Tanishita K. Ductular network formation by rat biliary epithelial cells in the dynamical culture with collagen gel and dimethylsulfoxide stimulation. Am J Pathol, 173(2), 494-506 (2008)